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ある時、こんな電話があった。

『Ｋの父で、○○と申しますが・・』
『家を仲介されたウェルワークスさんですか？・・』

『今、息子（Ｋ）はどこにいるかわかりますか？・・』
『電話番号はわかりませんか？・・』

私は、もちろん名前も覚えていましたが、
それよりも瞬時に、Ｋさんが最後に私に言った言葉と、
売却中に携帯番号を換えた事を思い出し

「やっぱりそうだったのか・・・」

と、腑に落ちる思いがしました。

2年前Ｋさんが、最後の別れ際に
『今まで有難うございました・・』
『申し訳ないですが、私の携帯の番号は削除してもらえませんか？・』
『それから家を売った事、離婚した事は、誰に聞かれても言わないで下さい・』

『約束してもらえませんか？』

と。

2年前の言葉を思い出しつつも・・・

お父様には何と伝えればいいのか・・・

電話の主旨は、

・息子の居場所を教えてもらいたい。
・おじいちゃんが危篤で入院し、死ぬ前に孫（Ｋ）の顔を見たいと言っている
・購入して住んでいた家に行ったが、住人が変わっていた。

とにかく、すぐに会いたい。

でも、Ｋさんとは約束したし・・

一度、調べて折り返す事を名目に、
電話を切らせて頂いた。

調べて、もし連絡先がわかったらどうしよう・・
そんな事を思いながら・・
気持ちの整理をする。

当時、住所、連絡先などを記した書類はシュレッダーにかけたし、
携帯のアドレス帳も削除した。

絶対に、見つける事が出来ない。
そんな自信を胸に、成約台帳をめくっていると・・・

あった・・

銀行の振込伝票に電話番号が・・

また葛藤が始まった・・

お父様に連絡してあげるべきか？
Ｋさんにその事を伝えるか？

Ｋさんに伝えれば、また行方を・・・

迷いに迷ったあげく・・

Ｋさんに電話を

Ｋさんが電話に出た・・

あれから、数か月経過した今、

本当にあれでよかったのか？

おじいちゃんは孫の顔をみれたのだろうか？

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