不公平はありがたい④
ウェルワークス | 2012/10/17 | ニュース・ブログ, ヒトリゴト
僕の方をとんとん・・と
振り返ると、
薄暗さの中に、警帽を被った警察官と目があった。
まずっ・・
『君いくつ・・』
『じゅ・・う・・・・』
『高校生?』
『いや・・・』
翌日、強制的に長崎に帰らされる事になる。
会社の社長もちょうど福岡まで出張があって、
一緒に新幹線に乗って、九州へ。
社長が新幹線内で、お土産に買ってくれた小瓶のバランタイン12年もの。
なぜバーボンなの?・・と思ったが、聞かなかった。
東京に戻ってきたら一緒に飲もう・・・
そんな思いでもあったのだろうか。
福岡駅に迎えに来ていた両親と、
担任の先生と教頭先生に肩を抱かれ、
複雑な思いで、8日ぶりに家に帰る。
高校は家出を病欠扱いにしたみたいで、
何事もなかったように高校2年生にもどれました。
ただ、扱いが変わった。
学校では罰として、
2年生の終わりまでの半年間を他の生徒の方をむいての授業。
先生と同じ台の上に机を上げて、先生と同じ方向を向いて授業。
なので、黒板は見えないし、黒板を消した後のチョークの粉が肩にびっしりつくし、
居眠りは出来ないし、いつも他の生徒がこちらをみていて落ち着かないし。
発表も常に、他の生徒の方を見て発表し、
話すのも、他の生徒の方をみて。
弁当も他の生徒の方をみて。
体育以外は全部。
音楽も、理科の実験も、全部他の生徒の方を見て授業。
なんという罰。
不公平な・・
学校としては、
家出人が高校から出る事は前代未聞で、
絶対にあってはならないし、許せない事。
県でも有数の進学校。
朝7時30分から午前中は5時間、午後は4時間の授業。
夏休みは実質休みは1週間。残りの30日以上は補習という名の授業。
冬休みも実質3日。残りは補習。
こんな学校に来るんじゃなかった。
しかし、今思うとこの罰が役にたっている気がします。
人前で話す時、人前で歌う時、みんなの前で説明する時、
いつもこの罰の事を思い出します。
あぁ・・あの時の罰は、このリハーサルだったんだ・・
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